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031 信じるという鎖

last update Date de publication: 2025-04-28 19:00:18

「素敵……」

 海が目を輝かせた。

「素敵かどうかは知らないけど、そうして青空姉〈そらねえ〉は無事、社会復帰を果たした」

「大地はいつからとまりぎに?」

「俺はかなり後になってからだ。まあそれまでも、ちょくちょくヘルプで入ってたけどな」

「そうなんだ……そして青空〈そら〉さんは、浩正〈ひろまさ〉さんに告白されて」

「いや、告白は青空姉〈そらねえ〉からだ」

「そうなの?」

「ああ。それも電光石火だったぞ。いつしたと思う?」

「いつって、それはやっぱり相手のことを知ってからになるから……半年後ぐらい?」

「出会ったその日だ」

「ええええっ?」

「あの日、家に浩正さんを連れてきて。仕事の話を色々聞かされて、青空姉〈そらねえ〉は益々やる気になってた。まあ、その前にもう決めてたみたいなんだけどな。それで一緒に酒飲ん

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  • 【完結】青空と海と大地ーそらとうみとだいちー   072 青空と海と大地

     一年後。 青空〈そら〉の誕生日であり、一周忌にあたる1月19日。 有料老人ホームがオープンした。 施設長は浩正〈ひろまさ〉、大地は管理者。 海は喫茶「とまりぎ」の責任者として、従事することになった。 * * * この日は運動場を開放し、オープンを祝うたくさんの客が訪れていた。「おめでとう、浩正くん」 車椅子の下川が微笑む。「ありがとうございます。何とか無事、オープンすることが出来ました」「青空〈そら〉ちゃんもきっと、天国で喜んでるわ」「そうですね。でもね、下川さん。天国は勿論ですが、ここにも青空〈そら〉さんはいますからね」 そう言って入口に掲げられた看板を指差す。「そうね、そうだったわね」 有料老人ホーム青空〈そら〉。 それがこの施設の名前だった。「浩正さん、利用者さん一名、到着されました」 そう言って大地が門まで走り、車を誘導する。「すいません大地くん、お願いします」「任せてください」 大地が笑顔で答え、車から降りてきた利用者に手を差し出す。「ありがとう。随分賑やかね」「ようこそ青空〈そら〉へ。歓迎します」 海は運動場を走り回り、スタッフたちと接客に当たっていた。「海ちゃん、本当におめでとう」「ありがとうございます。山田さんも、今日はゆっくりしていってくださいね」「海ちゃん、本当にしっかりしてきたわね。これなら新人さんたちも安心ね」「あはははっ、私、最初の頃はおっかなびっくりでしたからね」「でもここを任されてからの海ちゃん、本当に見違えちゃって。格好いいわよ」「あはははははっ、そんなに褒めても何も出ませんよー。あ、でも紅白饅頭はありますから。後で召し上がってくださいね」 そう言って後輩スタッ

  • 【完結】青空と海と大地ーそらとうみとだいちー   071 愛するということ

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  • 【完結】青空と海と大地ーそらとうみとだいちー   070 ありがとう

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  • 【完結】青空と海と大地ーそらとうみとだいちー   069 自己問答

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     それから数日が経ち。 禁断症状がかなり治まっているのを感じた。 短い時間ではあるが、夜も眠れるようになっている。 煙草の本数に気をつければ、頭痛も酷くならなかった。 少しずつ、食事も摂れるようになってきて。 肉体的にかなり楽になってきたと実感した。 しかし。 入れ代わるように、今度は心が蝕まれていった。 言い様のない不安。恐れ。 それらが全身にまとわりついていた。 * * * 体が震える。 ジャケットを出して羽織る。 しかし震えは治まらなかった。 なんなんだ、これは。 大の男が部屋で一人、何を震えてるんだ? 禁断症状の時とは違う、体が自分のものでないような感覚。 なんでこんなに寒いんだ? そう思いスマホを見ると、気温は20度になっていた。「はああっ? 壊れてんのか?」 しかしすぐに思い直した。 違う、壊れてるのは俺の自律神経だ。 そう言えば昨日、天気予報で5月並みの陽気になると言っていた。 そう思うと、急に暑く感じてきた。 慌ててジャケットを脱ぐ。シャツを脱ぐ。 全身に汗がへばりついていた。 大地はタオルで汗を拭い、新しいシャツに袖を通した。「……また……寒くなってきたな……」 再びジャケットを羽織り、苦笑する。 寒いんだか暑いんだか、よく分からん。 色々と……壊れてるんだな、俺。そう思った。 そして。 嫌な感覚を覚えた。 何かに監視されているような感覚。 視線を感じ、クローゼットを見つめた。「……」 何も起こらない。当たり前だ。 この家に住んでるのは俺と海。他に誰もいない。 海は今、買い物に出

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  • 【完結】青空と海と大地ーそらとうみとだいちー   009 言霊貯金

    「それで大地。今日のこと、忘れてないよね」 青空〈そら〉の言葉に、大地が一瞬固まった。  カレンダーの赤丸を見て、「そうだった……」そうつぶやいた。「やっぱりか。迎えにきてよかったよ」「悪い。色々あってすっかり忘れてた」「今日は結構な人数だからね、人手はいくらあっても足りないんだよ」「何時からだっけ」「14時から。だから慌てなくていいよ」 大地と青空〈そら〉が当たり前のように話を進める。自分には関係ないことだ、そう思った海が、カップを洗お

  • 【完結】青空と海と大地ーそらとうみとだいちー   008 清水青空

     大地の姉を前にして、海は無駄に緊張していた。  これっておかしくない? 別に私、大地と付き合ってる訳でもないんだから。  昨日出会ったばかりの他人、そのお姉さんってだけのこと。  緊張なんてしなくていい、普通にしろ、私。  そう自分に言い聞かせるが、興味津々な姉の視線に変な汗が止まらなかった。「ほら、コーヒー」 大地が姉にカップを渡す。そして海にも渡すと、そのまま姉の隣に座った。  おいおい大地! なんでそっちに座るんだよ!  二人して私の前に鎮座して。これじゃほんと

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